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無限英雄 第7話(その1)

第7話『ガイオナース』(その1)







 京介は、棺おけのフタが開けられる感覚を感じて目を開けた。
 体の所々が痛い。
 視力がハッキリすると、知っている顔、いやマスクの男の顔があった。
「・・・ハイ・・・スピード・・・?」
 マスクの男の名前を京介が呟く。
「大丈夫かい、俺がたまたま通りかかって助かったな」
 ハイスピードはそう言ってにっと笑った。
 彼のマスクは口元が露出しているので表情が分かりやすい。
 パイルマニアの炎が届く瞬間、ハイスピードが超スピードで助けたのだ。
「・・・あっ」
 京介は自分がインフィニティのメットマスクをはずされている事に気がついた。
「悪いけど、マスク壊しちゃったよ。いやもう壊れていたけども」
 ハイスピードは壊れたメットの全面部分を持って言った。
 呼吸の確保が必要だったのだろう。あのまま放置されていたら酸素がなくなっていただろう。
 酸素供給システムも壊れてしまっている。
 先ほどの棺おけのイメージは仮面を外された時の感覚だったようだ。
「意外に若いんだな」
 ハイスピードはそう言いながら、自分の被っているマスクを外した。
「早馬瞬速(はやま しゅんそく)だ」
 京介より少し年上の感じの赤毛の男が現われた。
「・・・いいのか、正体を?」
「構わないさ。君に素顔が知られたからって不都合はないだろう?」
 どこか人懐こい雰囲気がある。
「・・・助かったよ早馬さん。俺は任意京介」
 早馬は差し出された握手を受けた。

 パイルマニアはある高層ビルの最上階の部屋にスパークリングにつれてこられた。
 インフィニティを葬った事で、スパークリングの仕える『あの方』と面会するためだ。
 皮肉にも地下のインフィニティの秘密基地とは間逆のところに本拠地があるのだ。
「インフィニティを倒した今、お前らの組織に興味はないんだがな」
 パイルマニアはスパークリングに悪態をつくと、部屋に入った。
 高級そうな社長室。いかにもだ。
 そしていかにもな椅子に座ったいかにもな男がパイルマニアを迎えた。
「ご苦労だったね、スパークリング」
「統治(とうち)さま、このパイルマニア君のおかげで楽勝だったんですよ」
 スパークリングは笑みを浮かべる。
「よくやってくれた」
 統治と呼ばれた男、はパイルマニアに視線を向けて言った。
「どこかで見たことあると思ったら、お前・・・佐羽鬼統治!」 
 この男は佐羽鬼統治(さばき とうち)世界的シェアを持つ佐羽鬼グループの社長だ。
 佐羽鬼グループは3代前の佐羽鬼玉三郎が、タイで成功し世界に広がった企業であり、統治はこの日本支部を任されている。
 パイルマニアこと蛭子火男が前に勤めていた工場は、この佐羽鬼グループの下請けの下請けの下請け・・・くらいの位置の工場であった。
 そうでなくてもこの街の住人なら、この男の顔を見た事のない人間はいないだろう。
「さて・・・パイルマニア、君にチャンスを与えよう」
 統治の言葉にはパイルマニアは眉をひそめる。
「我々、ネクスターの組織に属するか、そうでないか。
君は結果を出した。この選択を選ぶ権利がある」
 パイルマニアは後ろでスパークリングが少し動くのを感じた。
 NOならば始末されるというところか。
「ちょうじ・・・ネクスターを集めてどうしようって気だ?」
「ネクスターというのはワタシが名付けた。次の時代をになう進化した者たち・・・優れたものが世を支配するべきだ」
 統治は椅子から立ち上がった。
「もちろん一人の力では世界を動かすのは難しいだろう。
だが正しく扱える者が力を束ねれば、遠い世界の話ではない・・・」
 パイルマニアは苦笑した。
「で、束ねるのがあんたってか?」
「そうだ。それだけの力を私は持っている」
 それが超人としての能力なのか、社会的な地位の事なのかは分からないが、パイルマニアは裏付けのない自信でない事は感じ取れた。
「・・・断れば?」
「排除する。従わないネクスターは脅威だ。生かしておくつもりはない」
 予想通りの返答だ。
「いいだろう・・・殺されたくはないし、な」
 そう返答すると、パイルマニアのスパークリングの殺気が消えた。
 統治は満足げに微笑む。
「それでは君には我がネクスターギルド・ガイオナースの一員として加わってもらう
ふふふ、よりよい世界を築きたいものだ」
 そう言うと椅子に腰掛けた。
「では、仲間を紹介しよう」
 スパークリングの言葉に、幾人かの人影が入ってきた。
「イージースカイだ」
「メイクアップよ」
「リキュール」
 小男、ケバい女、ホスト風の男が自己紹介をした。
「そして俺がチューインだ」
 天井から声がすると、天井の一部が空間が曲がったように湾曲し、スライムのようなものが姿を見せた。
 どうやら擬態能力があるようだ。
 スライムは床にボトリと落ちると、人間の形を作り出した。
「よろしく」
 とドロドロの手をパイルマニアに差し出した。
 パイルマニアは一瞬手を出しかけたが、自分の属性との相性が悪そうなのでやめた。
「もう1人サチューカンというのがいるのだが、今は警察に捕まっている。後で会わせよう」
 スパークリングの言葉で自己紹介は終了した。

つづく
by ookami102 | 2008-07-30 19:18 | 小説 | Comments(0)