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無限英雄2 第11話(その1)

無限英雄2
第11話『強襲!敵秘密基地(地方支部)』(その1)




 警報が鳴り響く。
「何事だ!?」
 テグスが作戦司令室へと駆け込んでくる。
「ライオネット・シナバーとインフィニティがこの基地に潜入したようです」
 ネヒーテが厳しい表情で言った。
「馬鹿な、どうやってこの場所が…」
「おそらくですが、ネクスター反応をたどったものと思われます」
「奴らにそのような手段が…!?」
「お気づきになってなかったのですか…?」
 何度も鉢合わせしておいて、敵にネクスター反応を追う手段がないと思っていた事にネヒーテは驚いた。
 偶然だとでも思っていたのだろうか。
 その可能性があるからこそネヒーテは二手に分かれて能力者を襲う事を進言したのだ。
「くっ、スパル・ダーマ! 行くぞ!」
 テグスは焦りを見せると、スパル・ダーマを連れて司令室を後にした。
 テグスが間が抜けていたとしても。
(行動が早い)
 ネヒーテも昨日の今日で動きを見せるとは思っていなかった。
 もう少し戦力を整えてからだと、こちらから攻め入る余裕はあるものだと思っていた。
(無謀な特攻か…?)
「面白い」
 ネヒーテは妖艶な笑みを浮かべた。

 突入したアークス支部の地下基地内は、思ったほど敵はいなかった。
 戦闘員に混じってまばらにアントルが出てくる程度で、シナバーは元よりインフィニティでもそう苦労はしなかった。
 これは人員削減のために採用したアントルが、作戦時に数を作り、終了後には処分するという形式を取っていたためであった。
 襲ってくる戦闘員も戦闘員というより警備当番員という有様で、逃げ惑う内勤員や研究員がーの数の方が多めである。
『悪の組織も様変わりしたもんだ』
 シナバーは適当にブラスターを撃ち非戦闘員を混乱させて追い立てる。
「貴様ら!」
 怒りの形相のテグスと、その後ろからスパル・ダーマが現れる。
『おいでなすった』
「作戦開始!」
 言うが早いか、裏で待機していたハイスピードは加速してテグスたちの脇をすり抜けると、基地の奥に入っていった。
「くっ、スパル・ダーマ、追え!」
「ギッ」
 スパル・ダーマも超加速を開始し、ハイスピードの後を追った。
「貴様ら、なめた真似を!」
 テグスは怒りに任せて怪人体に変化した。
 デッド・テンタクル、白い烏賊の怪人である。
『ヤツの相手は俺に任せろ。インフィニティは露払いを頼む』
『はい!』
 インフィニティはショットガンとマシンガンを両手に持つと、近寄ってきたアントルに向けて引き金を引いた。

 地下基地において空気口の存在は特に必須である。
 そこからドロリしたゲルが壁をつたい、データ管理室内の地面に広がると、人型を取った。
「へへへ、進入成功と」
 無我は小声でつぶやくと、破壊データの入ったマイクロディスクをポケットから取り出した。
 央真が提案した作戦は、基地を混乱させて怪人の目を逸らし、その間にブルーパウダーのデータを破壊する事であった。
 無我が協力する気になってこそ成立する作戦であった。
「やはりな」
 声が響いた。無我はビクリとすると、ネヒーテが立っていた。
「うっ…」
「今回の作戦はこの部屋にある、ネクスターを探知するレーダーとそのデータの破壊…違うか?」
 違う。
 違うが、同じ部屋にそれがあったのが運が悪かった。
 しかしそれだけブルー・パウダーに対しての危機感の違いに差があるのだ。
 無我は再び液状化して逃げようとする。
 ネヒーテは用意しておいた火炎放射器を無我に向けて発射した。
 炎がゲルを炙る。
「あづぁ!?」
 思わず固体化してしまう。
「侵入作戦と分かれば、誰がここに来るかなんて事は、データを見れば明らかだ」
 壁にもたれて座り込んでいる無我に近づいていく。
「我々を少し、甘く見すぎだ」
 無我の首を掴む。
「へへへ…どう、かねぇ」
 無我は苦しそうに笑った。
「何…?」
 その笑みが理解できずネヒーテの表情が歪む。
 次にこの部屋のコンピューターが放電を始めた。
 ネヒーテが視線を移すと、いつの間にか瞳がデータディスクをはめ込んでいた。
「馬鹿な、いつの間に!?」
「模倣能力者が誰を模倣するのかなんて、そう読めないもんな!」
 無我はそういい残すとゲル化してネヒーテの腕をすり抜けると、空気口へと逃げた。
 瞳もいつの間にかいない。
 無我の能力をコピーした瞳が液体化して無我と混ざって侵入していたのである。
「…やられた!」
 ネヒーテはヒステリックに叫ぶと、放電しているコンピューターに向けて腕を凪ぐと、破壊した。

 ハイスピードは障害物を避けながら超スピードで基地内を失踪する。
 後ろをちらりと見ると、これまた超スピードで飛んで追ってくるスパル・ダーマ。
 ハイスピードとイージースカイの能力をあわせている。
「ギャイッ!」
 蜘蛛怪人本来の能力である口から糸を吐くもハイスピードはうまく避ける。
「まったく蜘蛛が空を飛ぶなよなー!」
 悪態を付きつつも注意は崩さない。
「おっ」
 ハイスピードは何かに気付くと、状態をかがめて腕を地面に滑らす。
「どうだ按配は?」
「成功しました!」
 今の動作は液体化した瞳を拾ったのだ。
 実体化した瞳はハイスピードにお姫様抱っこされた形になった。
「よし、じゃ、もう一働きだ」
 ハイスピードが瞳を放り投げると、瞳は着地し、超スピードで別方向に走り出した。
 ハイスピードの能力をコピーしたのだ。
「ギッ!?」
 スパル・ダーマは突如現れたこれまた超スピードで逃げる相手に、どちらを追うか迷った。
 そして考えて瞳の方を追う事にした。


つづく。
by ookami102 | 2013-03-05 20:15 | 小説 | Comments(0)